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2021.06.11【早稲田大学レスリング部#1】 コロナ禍で学生アスリートの真価が問われる - 競技力よりも重視する人間力
YELL!!部活生インタビューの4校目は早稲田大学レスリング部。レスリングの強豪としても知られ、学生が主体となり競技はもちろん、学生自らスポンサー募集活動を行うなど大学卒業後を見据えた活動をしている。そんな早稲田大学レスリング部の3名にコロナ禍での部活動についてお話を伺った。
― 現在緊急事態宣言が発令されている中ではありますが部活動の活動状況はどうなっていますか?
安楽龍馬さん:緊急事態宣言が再発令されている中ではあるのでより体調管理、感染対策は徹底した中ではあるが練習頻度はコロナ前と変わらず週6日、行えている。ただ試合中止も相次いでいるためモチベーションをどう下げないで維持できるかを重視しながら今は取り組んでいる。また練習だけでなく各々が社会で活躍できる人材になれるよう自分たちのセカンドキャリアを見据えた活動も同時に取り組んでいて部活だけでなく他の分野での活動を続けられている状況。
― 具体的にセカンドキャリアを見据えた活動は例えばどういった活動を行っているのですか?
安楽龍馬さん:部として取り組んでいるのはスポンサー営業活動。この活動は以前から取り組んでいた活動で当初は物品提供をメインにサポート頂いていた。しかしコロナ禍により大学からの資金支援も少なくなったこともあり、大学の予算に左右されずに部活動ができるよう部員で企業へアポイントを取り資金調達に取り組むようになっている。
― そういった活動は他の部活動でも行われているのですか?
安楽龍馬さん:私が知る限りではレスリング部がはじめて。次世代の大学スポーツとして体現できるように活動を続けている。
― 企業へのアプローチも取り組む中でもコロナの影響は感じていますか?
安楽龍馬さん:企業さんもコロナ禍で打撃を受けられていてアポイントを取ろうとしても断られることもあることもある。その中でも資金のご支援を頂ける企業さんには感謝の気持ちでいっぱい。
― コロナ前とコロナ禍の中で学校生活はじめ部活動を通して感じた変化はありますか?
谷口虎徹さん:自分自身、大学に入学した昨年4月がコロナの感染が拡大し始めた頃で部活停止、学校も休校となり精神的にしんどいと感じていたこともあった。ただ今は授業も半分程度は対面で行えていて、部活も再開ができているのでやっと心に余裕を持って学校生活を送れている。
伊藤海さん:私は今年の4月に早稲田大学へ入学したので昨年の最初の緊急事態宣言やコロナ感染拡大当初は高校生だった。そのため特に大学生活での変化は感じておらず入学当初から対面での授業も部活動も通常通りできているので制限などは特に感じていなかった。
― 伊藤さんは高校生として出場する最後の大会などが軒並み中止になってしまっていたのではないですか?
伊藤海さん:高校3年生の最後のインターハイが3連覇を目指していたが中止になった。また女子選手だけで行われる女子オープンという大会も10月に開催予定だったが中止になってしまっていた。12月に行われた全日本はなんとか開催されたため、その大会が高校生として出場する最後の大会となった。
― インターハイが無くなってしまった時の心境は?
伊藤海さん:インターハイでは1年生の時から優勝することができ、その時から3連覇を狙ってきていたので大会が無くなってしまい最後3連覇をして高校での競技生活を締めくくりたかったという思いは非常に強かった。
― 学校も休校になり部活も停止になってしまっていた期間はどのように過ごされていましたか?
安楽龍馬さん:もともと本を読むことが好きなので読書を進んでしていた。競技面ではレスリングは体の柔軟性も大切なので、そこを維持できるよう毎日ストレッチは欠かさず行っていた。また、マインドフルネスいわゆる瞑想も1日15分、毎日欠かさず行っていた。一度部としてマインドフルネスの教室に参加して以降、競技に繋げられることが多かったため取り入れるようになった。
谷口虎徹さん:学校も休校になっていたため地元に帰り感染に配慮しながら、自宅近くの山に走りに行っていた。人も集まる場所ではないので気を遣うことなく自宅近くで限られた環境の中でトレーニングを続けていた。ただ実践的なトレーニングやレスリングの動作ができていなかったので部活再開時には自身の身体の動かし方を忘れてしまっている部分も多く、感覚を取り戻すのに苦戦した。
伊藤海さん:最初の緊急事態宣言中は高校生で、寮生活を送っていた。学校生活としては休校になりたくさんの課題が出されたので進めながらも、寮内でできるトレーニングやランニングを行っていた。
― 部活再開はいつ頃でしたか?
安楽龍馬さん:2020年6月頃から再開をしていた。地元に帰っていた部員もいたので部員全員で再開できたのは7月頃からだった。
― 部活動ができない間、やはり地方に帰ってしまう部員も多かったのではないでしょうか?
安楽龍馬さん:ご両親が感染者も多かった東京に滞在することを心配され、戻ってくるよう促されている学生が多かった。ただ自分の同期の中には当時地元での感染者数がゼロだったため反対に帰りづらくなってしまい、ずっと寮に残っている人もいた。
― コロナ禍で制限も多くされている中での気づきや、発見などは何かありましたか?
安楽龍馬さん:コロナ禍で学生アスリートの真価が問われるなと感じていた。活動ができない中で、自分らは学生アスリートだがプロのアスリートの方たちは企業に所属されている方も多いので結果をより求められているはず。その中で大会の中止が相次いだことで解雇や契約終了となってしまったアスリートがいたことはニュースなどで知っていた。そういうことを耳にしていると、こういう時こそアスリートとして競技以外でも活躍できる術を持っておくことが大切だと学んだ。
谷口虎徹さん:個人的には精神的に強くなれたと思う。練習も大会もできなくなり学生生活も自分の思い描いていたものではなくなってしまった。そういった慣れない環境に一人置き去りになってしまっているような状況を耐えきったという点では精神的に強くなれたと感じている。
伊藤海さん:私自身は高校生で寮生活をしていたので孤独感は特に感じることはなかった。反対に寮にいる時間が多くなった分、先輩や後輩とのコミュニケーションが増え、自分自身で考え色々なことに取り組める時間にできていた。寮内でミーティング時間を毎週設けていたが自粛期間は、よりその時間が増えたことで練習はできなくとも、レスリングについて考える時間を増やすことができていた。
<部活動紹介>
早稲田大学レスリング部
早稲田大学レスリング部は日本レスリングの発祥の地。常に学生が主体となって動いており、部員一人ひとりが個人目標、そしてチーム目標のために日々練習に励んでいる。2019年度には延べ12名が日本一に。また、東京2020オリンピック競技大会に出場する選手も在籍している。所属学生の総合タイトル数は166個にのぼる。その他、現在30社以上の企業から協賛を得るなど、学生自身が主体的にスポンサーを獲得するための活動も積極的に行っている。